ニ-ムは植物学上ではアザデラクチンインデカ(Azadirachta Indica A Juss)と呼ばれる東南アジア、アフリカ、中南米などの熱帯地域に広く分布するマホガニー科の樹木です。
ニームの木は成長が早く、種まきから約3年で高さ20フィートまで成長する可能性があります。雨がわずかな場所で成長し、極度に暑い地域でも繁栄します。ニームの木の寿命は150〜200年と云われていて、インドには約1800万本のニームの木があるとされています。
今世紀の初めに、ニームの木はインドの移民によってオーストラリア、アフリカ、東南アジア、南アメリカなどに持ち込まれ、今日、世界の少なくとも30か国、アジア、アフリカ、中南米で定着しています。
中国の雲南省には40万本を超えるニームを植栽して、世界最大のプランテーションとなっています。サウジアラビアのアラファト平原10平方キロメートルには、サウジアラビアの慈善家が200万人の巡礼者を慰める日陰になるようにと5万本のニームの木を植えました。
ちなみに、ニームの日本名はインドセンダンですが、日本にも分布するセンダンとは別物です。ニームは常緑ですがセンダンは落葉樹で毒があります。
インドではニームの樹は神様からの贈り物として、数千年にわたって崇められていました。昔から「村の薬局」と称されるほどその用途は多彩で、小枝は歯ブラシとして、健康のためにお茶にして飲まれていました。
その歴史は古く、5000年前のインダス文明の都市ハラッパとモヘンジョダロの遺跡で、頭蓋手術が行われた頭蓋骨とニームが入った土鍋が発見されました。世界で最も古く発展した文明の1つで、ニームが薬草として使われていた証拠を示しています。
ニームと仏陀に深い関りがあります、仏陀の主治医でありアーユルヴェーダ医のシーヴァカからパンチャカルマ(ニームなどを使ったデトックス法)を受けていた記録が残っています。爪楊枝の起源は仏陀が口の中をダンタカーシュタ(歯木/しぼく)を使って常に清潔にするように解いたことが始まりとされていて、インドではニームの枝を歯ブラシとして利用しています。仏陀亡くなった時に弟子たちがニームの葉を棺に入れたと伝えられています。
インド建国の父「ガンジー」は食事にニームのチャツネを添え、ニームのお茶を愛飲していました。ガンジーも独立の象徴の1つでもあったニームの葉が入った棺で送られました。